第1条 この条例は、職員等による知り得た市政運営上の違法な行為等の通報について必要な事項を定めることにより、市政における違法な事態の防止及び損失の抑制を図り、もって公務に対する市民の信頼を確保し、透明で公正な市政運営を確保することを目的とする。
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 職員等 市の職員であって
地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職、同法第3条第3項第3号に規定する非常勤職員及び同法第22条第2項に規定する臨時職員であるもの並びに市が資本金、出資金その他これに準じるものの2分の1以上を出資し、又は市と密接な関係にあると認められる法人で市長が定めるもの(以下「出資団体等」という。)の職員をいう。
(2) 公益通報 公益を守るために職員等が知り得た市政運営上の職員等の違法な行為又は違法性の高い行為に関しての通報をいう。
(3) 通報者 職員等であって公益通報を行う者をいう。
第3条 職員等は、市の事務事業(出資団体等の出資目的に係る事務事業又は市から事務事業を受託し、若しくは請け負った事業者における当該事務事業を含む。以下「事務事業」という。)に関する事実であって明らかに次の各号のいずれかに該当するものがあるときは、当該事実に関与した職員等がその関与した時期に属し、その任命権を有した市長その他の市の機関(以下「実施機関」という。)又は公益通報相談員に対し、書面により公益通報をすることができる。
(1) 法令(市の条例、規則及び訓令を含む。)に違反する事実
(2) 市民の生命、健康若しくは生活環境を害し、又はこれらに重大な影響を与えるおそれのある事実(前号に該当する事実を除く。)
(3) 前2号に掲げるもののほか、事務事業に係る不当な事実
2 公益通報をするときは、原則として実名によらなければならない。ただし、前項の書面をもって事実が確認できると当該書面の提出を受けた実施機関又は公益通報相談員が認める場合は、この限りでない。
3 公益通報を受けた実施機関(市長を除く。)は、直ちに、市長に対し、提出された書面を添付してその旨を報告しなければならない。
第4条 通報者は、前条第1項に規定する事実を証する確実な資料に基づき、誠実に公益通報をするよう努めなければならない。
2 通報者は、ひぼう中傷、私利私欲等の不正な意図を持ち、又は私憤、敵意等の個人的な感情によって公益通報をしてはならない。
3 通報者は、勤務条件に関する事案については、公益通報をすることができない。
第5条 正当な公益通報をした通報者の任命権を有する市長その他の市の機関(以下「通報者の任命権者」という。)は、当該通報者に対し、そのことにより人事、給与その他の職員の勤務条件の取扱いについて、いかなる不利益も与えてはならない。
2 通報者の任命権者は、通報者が前項の不利益を受けるか又は受けるおそれがあると認めるときは、その改善又は防止のため必要な措置を講ずるものとする。
第6条 通報者に係る情報は、厳格に保護し、本人の同意があるときを除いて一切公表しない。
2 規則で定める職員以外の者は、通報者に係る情報を知ることができない。
第7条 実施機関は、公益通報に係る事実が第3条第1項に規定する事実に当たらないことが判明した場合において、その公益通報により名誉が侵害された職員等及び関係人(以下「利害関係人」という。)に対し、その事実関係の公表その他の利害関係人の名誉を回復するための適切な措置を講ずるものとする。
第8条 公益通報の受付、調査及び報告を行うため、契約により公益通報相談員を置く。
2 公益通報相談員の選任については、あらかじめ議会の同意を得なければならない。
3 公益通報相談員は、弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)とする。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、公益通報相談員になることができない。
(1)
弁護士法(昭和24年法律第205号)の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から3年を経過していない者(同法の規定により再び業務を営むことができることとなった者を除く。)
(2) 懲戒処分により弁護士の業務を停止されている者
(6) 市長、副市長、教育長又は監査委員のいずれかと親子、夫婦又は兄弟姉妹の関係にある者
第9条 公益通報相談員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
第10条 公益通報相談員は、第3条第1項の規定により公益通報があったときは、速やかに通報内容を整理し、その概要及びこれに対する対応方針を市長に報告しなければならない。
2 前項の通報内容が違法又は不当なものでないと認めるときは、公益通報相談員は、通報者に対しその理由を説明し、当該公益通報を拒否することができる。
第11条 公益通報相談員は、公益通報があった場合においてその調査の必要があると認めるときは、直ちに調査を開始しなければならない。
2 実施機関及び職員等は、前項の調査に協力しなければならない。
3 第1項の調査に協力した者は、当該調査結果が公表されるまでの間、その調査に協力した事実を漏らしてはならない。
第12条 公益通報相談員は、公益通報に係る調査等の事務を他の者に補助させることができる。
2 補助者(前項の規定により公益通報相談員を補助する者をいう。以下同じ。)の資格については、規則で定める。
3 公益通報相談員は、補助者を用いるときは、あらかじめ市長に届け出るものとする。
4 公益通報相談員は、調査等が適正かつ円滑に行われるよう補助者を監督しなければならない。
5 補助者は、公益通報相談員の事務を補助したことに関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
第13条 調査の結果、当該公益通報に係る事務事業に関し、違法又は不当な事実があると認めるときは、公益通報相談員は、市長に対し、その旨を報告するとともに、これを証する資料を市長に提出しなければならない。
2 調査の結果、当該公益通報に係る事務事業に関し、違法又は不当な事実の存在が認められなかったとき、又は調査を尽くしても違法又は不当な事実が判明しないときは、公益通報相談員は、その旨を市長に報告しなければならない。
3 公益通報相談員は、調査の結果を通報者に報告しなければならない。
第14条 市長は、前条第1項の規定により調査結果の報告を受けたときは、規則で定めるところによりその内容を公表するとともに、必要に応じて告訴又は告発をするほか、再発防止のために必要な措置をとらなければならない。
2 前項の報告が市長以外の市の機関に属するものであるときは、市長は、当該機関に対し、当該報告の内容を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知を受けた市長以外の市の機関が行う措置については、第1項の例による。
第15条 実施機関は、公益通報相談員の調査又は前条の措置に関し、必要があると認めるときは、公益通報相談員又は公益通報相談員であった者の説明を求めることができる。
2 前項の説明の請求は、調査を妨げる目的でしてはならない。
(特定の事件についての公益通報相談員の調査の制限)
第16条 公益通報相談員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、調査することができない。
2 前項に該当する場合には、公益通報相談員は、その旨を通報者及び市長に説明し、自己以外の公益通報相談員に事案を移送しなければならない。
第17条 この条例の運用に当たっては、通報者の任命権者及び実施機関は、通報者及び利害関係人の人権が不当に侵害されることのないよう配慮しなければならない。
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
この条例は、平成16年4月1日から施行する。ただし、第8条の規定は、公布の日から施行する。
(鹿沼市職員等公益通報条例の一部改正に伴う経過措置)
5 改正法附則第3条第1項の規定により収入役として在職するとされた者については、第9条の規定による改正後の鹿沼市職員等公益通報条例の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)附則第2条第1項に規定する旧教育長が本市において同項の規定によりなお従前の例により在職するものとされる間は、この条例による改正後のそれぞれの条例の規定は適用せず、この条例による改正前のそれぞれの条例の規定は、なおその効力を有する。