○鹿沼市消費生活条例
平成20年3月18日条例第3号
鹿沼市消費生活条例
鹿沼市の消費者を守る条例(昭和50年鹿沼市条例第2号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この条例は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の確立及びその自立の支援その他の基本理念を定め、市及び事業者の責務を明らかにするとともに、消費者のくらしを守るための基本的な事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もって市民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。
(基本理念)
第2条 消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策(以下「消費者施策」という。)の推進は、市民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保された上で、次に掲げる消費者の権利の確立及びその自立の支援を図ることを基本として行われなければならない。
(1) 商品及び役務によって生命、身体及び財産に危害を受けない権利
(2) 商品及び役務について自主的かつ合理的な選択の機会が確保される権利
(3) 商品及び役務について不適正な取引条件及び取引方法を強制されない権利
(4) 消費生活において消費者の個人情報が侵害されない権利
(5) 消費生活において必要な情報が提供される権利
(6) 消費生活において必要な知識及び判断力を習得し、主体的に行動するための教育を受ける機会が提供される権利
(7) 消費生活に関する意見を表明し、その意見が消費者施策に反映される権利
(8) 商品及び役務によって不当に受けた被害から適切かつ迅速に救済される権利
2 消費者の自立の支援に当たっては、消費者の安全の確保等に関して事業者による適正な事業活動の確保が図られるとともに、消費者の年齢その他の特性に配慮されなければならない。
3 消費者施策の推進は、高度情報通信社会の進展に的確に対応することに配慮して行われなければならない。
4 消費者施策の推進は、環境への負荷の低減その他の環境の保全に配慮して行われなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、前条に規定する消費者の権利の確立及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、消費者施策の策定及び実施に当たっては、消費者及び消費者団体の意見を反映するよう努めるものとする。
3 市は、消費者施策の策定に当たっては、国及び栃木県(以下「県」という。)と役割を分担し、国及び県が策定する施策との整合性を図るとともに、その実施に当たっては、国、県、独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)その他の関係機関との連携に努めるものとする。
4 市は、消費者団体が行う消費生活の安定及び向上に資する健全かつ自主的な活動を支援するため、必要な措置を講ずるものとする。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、第2条に規定する消費者の権利の確立及びその自立の支援その他の基本理念にかんがみ、消費者が消費生活において使用し、又は利用する商品及び役務を供給するに当たっては、次に掲げる事項に努めなければならない。
(1) 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。
(2) 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること。
(3) 消費者との取引に際して、消費者の年齢、知識、経験及び財産の状況等に配慮すること。
(4) 消費者の個人情報を慎重かつ適正に取り扱うこと。
(5) 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制を整備し、自ら又は共同で当該苦情を適切かつ迅速に処理すること。
(6) 市が実施する消費者施策に協力すること。
2 事業者は、その供給する商品及び役務について、環境への負荷の低減その他の環境の保全に配慮するとともに、品質その他の内容の向上に努めなければならない。
(消費者の消費生活の安定及び向上への寄与等)
第5条 消費者は、自らの権利を生かし、利益の増進を図るため、消費生活に関する知識を修得し、及び必要な情報を収集するとともに、消費者相互の連携及び組織化を図る等自主的かつ合理的に行動することによって、消費生活の安定及び向上に積極的に寄与するよう努めるものとする。
2 消費者は、消費生活に関し、環境への負荷の低減その他の環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めるものとする。
(消費者団体の健全かつ自主的な活動)
第6条 消費者団体は、消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓発及び教育、安全かつ公正な取引を確保するための市場の監視、消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとする。
(危害の防止措置)
第7条 市は、商品及び役務によって生ずる危害を防止するため、生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれがある商品及び役務に関する情報の収集及び提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(啓発活動及び教育の推進)
第8条 市は、消費者の自主的かつ合理的な行動を促進するため、消費生活に関する知識の普及及び情報の提供等の啓発活動を推進するとともに、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じた消費生活に関する教育の充実等に努めるものとする。
(消費者団体への支援)
第9条 市長は、消費者団体が行う消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動を促進するため、活動及び交流の場の提供、活動内容の情報発信その他の必要な支援を行うものとする。
(高度情報通信社会の進展への的確な対応)
第10条 市は、消費者の年齢その他の特性に配慮しつつ、消費者に対する啓発活動及び教育の推進並びに苦情処理に当たって高度情報通信社会の進展に的確に対応するために必要な措置を講ずるものとする。
(消費生活市民会議)
第11条 市が実施する消費者施策に市民の意見を反映させるため、鹿沼市消費生活市民会議(以下「市民会議」という。)を置く。
2 市民会議の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(不適正な取引行為の禁止)
第12条 事業者は、消費者との間で行う商品及び役務の取引に関し、次の各号のいずれかに該当する行為であって規則で定めるもの(以下「不適正な取引行為」という。)を行ってはならない。
(1) 消費者に対し、不実を告げ、誤信を招く情報を提供し、威迫し、心理的に不安な状態に陥れる等の不適正な方法で、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為
(2) 消費者に対し、著しく不利益をもたらす不適正な内容の契約を締結させる行為
(3) 消費者に対し、契約(契約の成立について、当事者間で争いのあるものを含む。)に基づく債務の履行を不当に強要し、消費者の正当な根拠に基づく契約の解除等を妨げ、又は契約若しくは契約の解除等に基づく債務の履行を拒否し、若しくは正当な理由がなく遅延させる行為
(4) 商品及び役務の販売等をする事業者又はその取次店等実質的に販売等をする者からの商品及び役務の購入等を条件又は原因として信用の供与をする契約又は保証を受託する契約(以下「与信契約等」という。)について、消費者の利益を不当に害することが明白であるにもかかわらず、その締結を勧誘し、若しくは締結させ、又は消費者の利益を不当に害する方法で、与信契約等に基づく債務の履行を強要し、若しくは債務の履行をさせる行為
(調査)
第13条 市長は、不適正な取引行為が行われている疑いがあると認めるときは、当該職員に、その行為の方法、内容その他の事項について調査をさせることができる。
(事業者に対する資料提出の要求)
第14条 市長は、次条の規定による指導若しくは勧告又は第17条第1項若しくは第2項の規定による情報の提供に当たって、第12条第1号の不実を告げる行為をしたかどうかを判断するため必要があると認めるときは、当該事業者に対し、期間を定めて、当該告げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が正当な理由がなく当該資料を提出しないときは、当該事業者は、同号の不実を告げる行為をしたものとみなす。
(指導及び勧告)
第15条 市長は、事業者が不適正な取引行為を行っていると認めるときは、その者に対し、当該不適正な取引行為を是正するための必要な措置を講ずるよう指導し、又は勧告することができる。
(公表)
第16条 市長は、前条の規定による勧告をした場合において、当該事業者が正当な理由がなくその勧告に従わないときは、その者の氏名又は名称、その勧告内容その他必要な事項を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えるとともに、市民会議の意見を聴かなければならない。
(不適正な取引行為に係る情報の提供)
第17条 市長は、不適正な取引行為による被害の発生及び拡大を防止するため必要があると認めるときは、速やかに、その行為の方法、内容その他の必要な情報を市民に提供するものとする。
2 市長は、次に掲げる場合にあっては、速やかに、その行為の方法及び内容、事業者の氏名又は名称及び住所その他の必要な情報を市民に提供することができる。
(1) 不適正な取引行為に関する苦情の処理の申出が相当数あり、かつ、当該申出について、消費者に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがあると推測することができる場合
(2) 前号に掲げる場合のほか、不適正な取引行為により消費者に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがあると認める場合
3 市長は、前項の規定による情報の提供をしようとするときは、あらかじめ、当該情報の提供に係る者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(苦情処理の申出)
第18条 消費者は、市長に対し、商品及び役務の取引に関する苦情の処理を申し出ることができる。
(苦情処理)
第19条 市長は、前条の規定による苦情の処理の申出があったときは、助言、あっせん等により当該苦情が適切かつ迅速に処理されるよう努めなければならない。
2 市長は、前条に規定する苦情の処理を行うに当たっては、国、県、国民生活センターその他の関係機関との連携に努めるものとする。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成20年4月1日から施行する。ただし、第16条の規定は、同年7月1日から施行する。