紙本淡彩 百衣観音図
(しほんたんさい びゃくえかんのんず)
明治時代
縦167.5cm・横63.5cm
栃木県指定有形文化財(絵画)
指定年月日:昭和52年7月29日
南上野町
個人蔵
寺崎広業(こうぎょう)の作です。岩上に結跏趺坐(けっかふざ)する観音菩薩(ぼさつ)の心持ち細目に俯瞰(ふかん)した眼、やや厚めの唇などが、豊満な顔にういういしさを感じさせます。菊花と鈴の瓔珞(ようらく)、玉のちりばめられた腕輪が、乳白色の肌に映えています。宝冠(ほうかん)には、中央に蓮華(れんげ)を持つ菩薩、その両側に礼拝者を描いています。主題の観音菩薩以外、岩と滝、わずかな草以外に樹木などは一切描かれていません。天界から今しも岩上に舞い下りたような超現実的な雰囲気を漂わせた作品です。