絹本著色 天保九如図
(けんぽんちゃくしょく てんぽきゅうじょのず)
田崎草雲
江戸時代
縦110.5cm・横45cm
栃木県指定有形文化財(絵画)
指定年月日:昭和54年8月28日
鹿沼市中粕尾
個人蔵
絹本著色天保九如図は、縦110.5cm、横45cm、慶応(けいおう)2年(1866)田崎草雲の作です。画面に記された「天保九如図」とは、中国の古典「詩経」の小雅天保の篇にちなみ山・阜・岡・陵・川・月・日・南山・松柏の九つを書き込んだ吉祥画題のことです。
煩を避けた簡明な構図ですが、山嶽丘陵の布置はよく調和を保ち、山や岩の皴(しゅん)、点苔(てんたい)も要を得ています。中景の山と近景左右の山とで三角形を形づくる単純な青緑山水図ですが、天に日月がかかり、丘陵に松柏の繁茂する景観は趣を異にしています。
皴とは、山岳や岩石の凹凸感、実在感を表すために加えられる墨のタッチの手法をいい、点苔とは、東洋画で岩石、枝幹などについた苔を示すため要所に打つ点 をいいます。どちらも画面の調子を整える重要な技巧とされています。