上石川の天棚 附 天棚彫刻49点
(かみいしかわのてんだな つけたり てんだなちょうこく49てん)
1848年 江戸時代
唐破風付二層型
間口255.6cm、総幅399.2cm、奥行393.4cm、総奥行538.5cm、全高554.7cm(鬼板除く)
市指定(平成25年4月26日)
鹿沼市上石川 544 根裂神社境内
上石川自治会
毎年9月1日(旧暦8月1日)に近い日曜日、上石川の鎮守である根裂神社(ねさくじんじゃ)の境内で天祭(てんさい)と呼ばれる祭が行われます。風雨順調・五穀豊穣を祈願する祭であり、この天祭を行う施設(建物)が「上石川の天棚」です。
「上石川の天棚」は、唐破風付二層型で、全国的にも鹿沼市・宇都宮市を中心とした範囲にのみ見られる形式のものです。各地で見られる天祭において、このような型の天棚を設置するのは、付近に高い山がない地域であり、山の上に神仏を祀るという行事本来の意味から、山を模したものと考えられています。天棚は、日天・月天をはじめ八百万の神 仏を祀る祭壇であるとともに、囃子を奉納する場でもあり、本市東部に広がる平坦な畑作地帯の信仰を知るうえで貴重なものです。
上石川にはかつて2基の天棚が存在しましたが、昭和42年に1基にまとめられました。根裂神社境内に常設される現在の天棚の基本となっている彫刻は、「天祭棚御彫物仕様積控」や「天棚彫物寄進控帳」などの古文書の内容や、彫刻の寄進者銘などから、弘化4年(1847)に石塚吉明が制作したものを中心としていることが分かります。また、その際に出た余分な彫刻も現在は境内の公民館内に大切に保管されています。