録事尊の村廻り
(ろくじそんのむらまわり)
江戸時代
鹿沼市無形民俗文化財(平成14年1月16日)
鹿沼市下・中・上粕尾
粕尾地区住民
粕尾地区では、中世において雷神の治療、天皇の治療、娘の生体解剖などを行ったという名医中野智玄(録事法眼)の伝説がいまなお語り継がれています。
その伝説から派生した録事尊の巡行仏は、智玄を地蔵菩薩として、またその妻桂夫人と娘小春を聖観音菩薩として祀り、各々を厨子に納め、地区の各家々を廻し祀る習俗です。 上粕尾を廻る仏像は娘、中・下粕尾を廻る仏像は智玄と妻と言われ、智玄と妻は不仲であるため、同じ家に留まる事はないとされています。
巡行仏信仰は民間信仰の一形態であり、栃木県内では小山市の中河原地区や佐野市の村上地区に似た例を見ることができます。なかでも粕尾地区の巡行仏は、三体の仏像が広大な村内を廻るという非常に珍しい形態のものであり、そのような信仰形態が地域住民の手によって現在まで残されてきたということは貴重なことであり、文化財として指定されました。