健康ワンポイントアドバイス
健康コラム vol.1
「聞こえ」を大切に、心と体の健康を守りましょう。
上都賀郡市医師会 会長 大久保 昌章 先生
皆さんは、ご自身の「聞こえ」について、日頃から意識していますか?
「最近、テレビの音量を少し上げることが増えたな」「家族との会話が聞き取りづらい時があるな」と感じている方はいませんか?
年齢を重ねるにつれて、誰にでも聞こえづらさは起こりうるものです。しかし、「年だから仕方ない」と放置してしまうと、思わぬ健康リスクにつながることがあります。
近年、難聴と認知症の関連性が注目されています。聞こえづらくなると、他人との会話が億劫になったり、コミュニケーションの機会が減ったりすることがあります。
その結果、社会的に孤立し、脳への刺激が減って認知機能の低下を招きやすくなることがわかってきているのです。
難聴は、認知症の危険因子の一つであり、補聴器で聞こえを改善することで認知機能の低下を遅らせることができるという研究報告もあります。
「でも、補聴器ってなんだか大げさで…」とためらってしまう方もいるかもしれません。
しかし、現在の補聴器は小型で目立たないものも多く、ご自身の聞こえの状態に合わせて調整することで、快適な日常生活を送ることができます。
聞こえづらさを感じたら、まずは耳鼻咽喉科を受診し、専門医に相談することをお勧めします。早期に適切な対応をすることで、難聴の進行を防ぎ、認知症のリスクを軽減できる可能性があります。また、鹿沼市では補聴器購入のため補助制度もあります。
また、聞こえの健康を保つためには、日々の生活習慣も大切です。
* 大きな音から耳を守る: イヤホンで音楽を聴く際は、音量を控えめにしましょう。
* バランスの取れた食事: ビタミンやミネラルを豊富に含む食材を積極的に摂りましょう。
* 適度な運動: 全身の血行を良くすることで、内耳の健康にもつながります。
* 十分な睡眠: 体を休めることは、耳の健康にも良い影響を与えます。
「聞こえ」は、社会とのつながりを保ち、豊かな人生を送るための大切な感覚です。ご自身の聞こえを大切にすることは、心と体の健康を守ることにもつながります。
聞こえづらさを感じているご家族や友人がいたら、ぜひ医療機関への受診を勧めてあげてください。