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「集まりづらい時代に集まれるヨリドコロに」 鹿沼初のコワーキングスペースを開いた”関西人” 田中瑞穂さんから見た鹿沼

今年(2021年)5月24日、鹿沼市に初めてのコワーキングスペース「シェアスペース ヨリドコロ」がオープンしました。開いたのは、鹿沼で子育て真っ最中の田中瑞穂(たなかみずほ)さん。
私が「ヨリドコロ」を知ったのは、オープンしてすぐの頃、たまたまInstagramで鹿沼に関わる写真を眺めていたら、古民家を改装したコワーキングスペースが流れてきて、フォローしたことがきっかけです。ちょうど100人目のフォロワーでした。
オープンして3か月。「オンラインで研修をしないといけないけど、静かなところがほしい」「鹿沼に営業に行くので、そのあと仕事をしたい」という働く人たちをはじめ、ワークショップやコスプレの企画、写真の撮影会などで利用されています。
 
シェアスペースヨリドコロ外観
▲古民家を改装してオープンした「シェアスペースヨリドコロ」
 
 
田中さんは私と同じ関西出身。兵庫、大阪、東京を経て、夫の異動をきっかけに栃木県に住むようになり9年、そのうち鹿沼に住み始めて7年目になります。
お話ししていると関西弁がバンバン出てくる田中さん。田中さんから見た鹿沼の印象や、コロナ禍の今、シェアスペースを開いた思いなど、お聞きしました。
 
 
――田中さんが栃木県に来たきっかけと、鹿沼の第一印象を教えてください。
もともと甲子園球場の近くに住んでいて、阪神淡路大震災で家が半壊になって、二年後ぐらいに大阪府堺市に引っ越しました。大阪で最初は仕事をしていましたが、東京に異動になり、夫がアメリカ駐在の勤務から帰国する際に宇都宮に来たんです。
宇都宮で就職しようと思ったんですが、なかなか見つからず、鹿沼に求人を見つけたんです。鹿沼の第一印象は残念ながら微妙でした(笑)。土地勘がないので、「鹿沼は宇都宮の隣」と思っていたら、鹿沼市は広くて行っても行っても着かない。職場の手前には大芦川が流れていて、後から知りましたが熊やニホンカモシカが出てきます。これは通勤するのが、大変だなぁと思いましたね。
 
田中瑞穂さん(左)と筆者
▲田中瑞穂さん(左)と筆者
 
 
――「印象微妙」のところから、鹿沼に住むようになったのはなぜなんですか。
宇都宮から職場まで1時間かけて通っていたんですが、子どもができると1時間通勤して宇都宮市内の保育園に預けるというのは、考えられなかったんです。私も夫も実家が遠いので、親に子育ての手助けをしてもらおうと思っても無理でした。鹿沼に職場のお友達もできていたので、お友達を頼ることにしたんです。夫は会社が宇都宮駅前だったので、JR線なら通えるということで、鹿沼に引っ越しました。
鹿沼に住むまで便利さに気がつかなかったのですが、すごくコンパクトなエリアで生活必需品が手に入るんです。渋滞なしに車が停められるし、スーパーが家の近くに5軒ぐらいあって、「お肉を買うならこの店」とか、特色のあるお店があるので、お買い物をするのに、便利です。子どもを遊ばせる場所もたくさんあるし、車に乗れば20分で大自然があります。
 
 
――コワーキングスペースをつくったきっかけは何だったんですか。
コワーキングスペースをつくろうと思っていたわけではなく、新型コロナウイルスの拡大で、出歩けなくなったので、広い家で子どもを遊ばせたいと思ったんです。古民家に興味があったので、空き家バンクに登録されている家を見に行き、観光気分でまわっていましたね。諦めかけた時に古民家カフェがあると聞いたので、見に行ったら閉店していて、建物を見たら気に入ってしまったんです。
夫は、「コワーキングスペースにしたらいいんじゃないか」と言っていたんですが、私は「子育てしながらは無理やで」と思っていました。でも、夫が鹿沼市の助成金を調べてきて、「やってみたらどうかな。旅行に行けるわけでもないし、趣味の一つと思って。お客さんが来なくても文句は言わないから」と言ってくれたので、自分たちのために借りてみたんです。
 
ワークショップの様子
▲子どもたちが楽しめるワークショップも開催されている
 
 
――コロナ禍でオープンすることに、悩んだことがあったのではないですか。
実は、オープンするかどうか、踏ん切りが本当につかなかったんです。何かすると人と接する機会になってしまうので、対面するようなことをするのかと思ってしまって。
自分がコワーキングスペースを使ったこともないのに、「できるのか」とも思っていました。何をどうしたらいいかわからないので、コワーキングスペースのやり方を電子書籍で書いている人にコンタクトを取って、いろいろ教えてもらっています。
オープンした以上は、せっかくだし、楽しいことができたらいいなと思っています。
ビジネスで利用される方は、今のところは他県から鹿沼に営業や出張に来ている方ですね。「オンラインで研修をしないといけないけど、静かなところがほしい」という方や、鹿沼に営業で来て、そのあと仕事する場所がないという方だったりします。
 
 
――改装するのに苦労されたことはありますか。
「ヨリドコロ」になる以前、この古民家はアジア料理、イタリアン、古民家カフェと飲食店として利用されていたようです。すでにかなり手が入っていたのですが、キッチンの床からは配管の丸い管がたくさん出ていて、とてもじゃないけど小さい子どもがうろちょろできる場所ではなかったんです。
たまたま鹿沼木工団地で接客してくれた人が、「DIYでやるなら一緒にやりますよ」と言ってくれて、できたのが今のキッチンです。初めてのDIYでしたが、楽しくできましたね。
 
家族総出でつくった小上がりスペース(左が改装前、右が改装後)
▲家族総出でつくった小上がりスペース(左が改装前、右が改装後)
 
 
――これからどんなことを展開していきたいですか。
ここはすごく静かなんですよ。大人もふと息を抜けるような所で、住んだことがない人も懐かしいと思える空間です。ビジネスでも、ぼーっとするだけでも、お茶を飲むだけでも、静かに時間を楽しみたい人に使ってもらうのが、この場所には合っていると思っています。
今、考えているのは、夫の実家が京都なので、京都の野菜や栃木県の野菜で朝市みたいなことができたら面白いかなと。夏休みの親子イベントなどもしてみたいですね。
こんなご時世で、集まりにくいけど、集まれる、「ヨリドコロ」という名前のような場所になっていくといいなと思っています。
 
 
 
 ▼シェアスペースヨリドコロ
※ご利用の際は、ご予約をお願いします。
住所:栃木県鹿沼市府中町132-1
Mail:yoridokorokanuma@gmail.com
Instagram:yoridokorokanuma(新しいウィンドウが開きます)
専用駐車場:8台

※記事中の写真は、ヨリドコロより提供を受けました。
 
 
ライター 福田 耕

掲載日 令和3年8月24日 更新日 令和3年8月25日

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