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2021年春 鹿沼で出会ったエドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)

こんにちは、水資源機構思川開発建設所です。今回は、鹿沼の桜を紹介します。
 
皆さんエドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)をご存じでしょうか?日本の桜と言えば、まず思い浮かぶのは「ソメイヨシノ(染井吉野)」でしょう。このソメイヨシノ、実はエドヒガンザクラとオオシマザクラ(大島桜)の交雑種と推定されています。日本三大桜のひとつとされている福島県三春町の「三春の滝桜」も、エドヒガン系の枝垂れ桜です。
私が愛してやまないエドヒガンの特徴は、「巨木」、「一本桜」、「花色が個性的」、「咲き誇る姿はソメイヨシノより迫力あり」です。さらに木の幹にも特徴があります。ソメイヨシノや山桜のような幹肌とはまるでちがい、その幹肌には縦にスジが入っています。樹齢を重ねるにつれて縦にスジが入っていくようで、樹齢を重ねたエドヒガンの幹は、まるでコナラやクヌギ(どんぐりの木)のようです。私は初めて花咲くエドヒガンの巨木の幹を見たとき、「この木がサクラ?」と驚きました。
名前の由来は、むかし江戸でちょうど春のお彼岸のころに咲くので、エドヒガンという名が付いたという説があるようです。
 
それでは2021年春、私が鹿沼で出会ったエドヒガンを紹介します。

叶桑沢のエドヒガン

叶桑沢の桜
(令和3年3月22日)

一番手は、勤務先から歩いて行くことができる「叶桑沢(かのうくわさわ)のエドヒガン」。2020年4月に鹿沼勤務になって最初に知ったエドヒガンです。
2020年夏前の昼休みに歩いて訪ねました。初対面の感想は、「やはり樹齢300年と言われるだけあって幹が太く風格がある」、「幹が朽ちていて枯れ枝もあり相当弱ってる?来春に花が咲くのか心配」、「樹高はそれほどではなく巨木感はない」、「木に近づけず幹の縦スジを確認できなかったため、エドヒガンではなくヤマザクラなのでは?」というものでした。しかし、エドヒガンの特徴である一本桜ということもあり、春の訪れを楽しみに待ちました。2021年3月19日、偵察に行ってみると数輪の花が咲いていました。休み明けの22日朝に再訪すると6~7分咲きほどになっており、その濃いピンク色の花姿にこれぞエドヒガンと感動しました。
勤務先から近いこともあり、出勤前や昼休みに数回訪ね、咲き誇る姿を十分堪能させていただきました。この木は咲き始めの濃いピンク色が特徴で、日を追うごとに白に変わっていきます。一番のオススメは7分咲きのころです! 

叶桑沢のとなりのエドヒガン

叶桑沢のとなりの桜 
(令和3年3月24日)

二番手は、叶桑沢のエドヒガンの70メートルほど手前の林の中から頭だけを出して咲いていたエドヒガン(1枚目の写真の右中央に写っています)。
林の中のため近寄ることはできませんでしたが、これは相当な巨木だと思っています。咲く時期と花色が叶桑沢と同じであるため、樹齢も同程度の兄弟ではと思っています。 

段の浦公園の枝垂れ桜

 段の浦公園の桜
(令和3年3月29日) 

三番手は、段の浦(だんのうら)公園の枝垂れ桜、樹高約16メートルの巨木です。この木は富士山(ふじやま)公園の山頂から鹿沼市街を見下ろしたときに目に留まりました。
ここも出勤前に数回立ち寄りました。誰も見に来ていないのが不思議なぐらいの立派なエドヒガン系の枝垂れ桜です。「近所の人は見慣れていて興味がないのかな~?」と思いつつ、カメラに納めました。

ヤオハンいちごパーク近くのエドヒガン

ヤオハンいちごパーク近くの桜
(令和3年3月23日)

四番手は、ヤオハンいちごパーク(鹿沼運動公園)に近い県道337号線沿いの斜面の上にたたずむ2本のエドヒガン。これは県道177号線を南摩ダムの現場に向かう車の中で目に飛び込んできました。咲く時期と少し濃いピンクの花色にエドヒガンと確信しました。
別荘のような建物が建つお宅の道路際にあるため、家の持ち主の方が植樹したのではと思っています。樹齢は50年ぐらいでしょうか。この木は少し濃いピンク色から白に変わっていきます。
 

妙見寺のエドヒガン

妙見寺の桜
(山門外の道路から:令和3年3月25日)

妙見寺の桜
(境内の中から:令和3年3月29日)
 
五番手は、県道337号線の栗沢峠を越えて口粟野に下りてきたときに、遠くの山裾に豪快に咲く姿が目に飛び込んできました。一目でエドヒガンの巨木だと確信し、翌朝、心を弾ませながら訪ねました。
そこには妙見寺(みょうけんじ)という立派なお寺があり、境内の裏山で豪快に咲き誇っていました。山門の外から見上げるとまるで鶴が羽ばたいているかのように見えました。この木は咲き始めの薄いピンク色から白に変わっていきます。この春出会ったエドヒガンの中で飛び抜けた巨木感の持ち主です。
この記事を投稿するにあたり、ご住職に掲載して良いか訪ねて伺ったところ、快く承諾していただきました。その際ご住職から、「数年前に大きな枝が2本折れてしまったんです。今も咲いた姿は素晴らしいですが、枝が折れる前はそれはそれは素晴らしかったですよ。」と話してくださいました。枝と言っても幹のように太い枝だったそうです。
「2本の枝が折れる前の豪快に咲く姿を見てみたかったな~」と、とても残念に思いました。
ご住職からは、お寺のことも教えていただきました。
曹洞宗のお寺となって、今年でちょうど450年とのことでした。それ以前の戦国時代は、粟野城主が変わるたびにお寺(宗派)も変わっていたそうです。
建物も歴史が古く、本堂は240年前、庫院(くいん)は270年ほど前に建てられたものと聞き歴史を感じました。それ以前に建っていた建物は、290年前の山火事に巻き込まれ焼失してしまったそうです。当時の10代目、11代目のご住職が、檀家の皆さんと協力して50年の歳月をかけて本堂を再建されたのだそうです。
妙見寺には、鹿沼市の文化財に指定されている半鐘(はんしょう)菩薩像(ぼさつぞう)もあります。ご住職が半鐘を叩いて音色を聞かせてくれました。なんとも言えない深みのある音色で余韻も素晴らしかったです。菩薩像はいま東京で修復してもらっているとのことでした。
夏の夕暮れ前に訪れたこともあり、裏山でヒグラシが奏でる「カナカナカナ. . . . .」の音色に、「夏の夕暮れ時は心が落ち着く良いところだな~」と新たな「めっけ」がありました。

栗沢峠手前のエドヒガン

栗沢峠手前の桜
(令和3年3月25日)

六番手は、県道337号線を上南摩から栗沢峠(くりさわとうげ)に向かう上り坂の途中の右手の山裾に咲いていたエドヒガン。この木は咲き始めからほぼ白いのが特徴です。個人のお宅の裏にあり近寄ることができなかったため、県道からカメラに納めました。

久野の山中のエドヒガン

鹿沼市久野の山中の桜
(令和3年3月25日)

七番手は、昼休みの散歩中に偶然目に飛び込んで来ました。このエドヒガンは山の中に咲く一本桜。芽吹き始めた木々の中で少し控えめに咲いていました。近寄ることはできませんでしたが、近寄ってみたらそこそこ大きな木かもしれません。このように山の中でポツンと咲く姿も私は好きです。
 
 
以上、この春出会ったエドヒガンを私の感想のみで紹介させていただきました。このほか、鹿沼市北部の板荷(いたが)地区にも「観音桜」や「板荷中学校のエドヒガン」などの素晴らしエドヒガンがたたずんでいるようです。来春は見に行かねばと今から思いを馳せています。
 
鹿沼の桜の名所と言えば、「千手山(せんじゅさん)公園」、「さつき大通りの桜並木」、「出会いの森総合公園の大芦川(おおあしがわ)沿いの桜並木」などのソメイヨシノがメジャーですが、静かなお寺や里山の中で輝きを放つエドヒガンには、ソメイヨシノにはない趣があります。
是非来春は、ソメイヨシノとは一味も二味も違うお花見「ポツンと一本桜巡り」で、エドヒガンの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
 
今回紹介したエドヒガンは、お寺や個人の所有地にたたずんでいるものがほとんどです。
見に行かれる際は、お寺や土地の持ち主、お寺にお墓参りに来られる皆さま、近所にお住まいの皆さまの迷惑にならないようマナーを守ったお花見をお願いいたします。

 
ライター水資源機構思川開発建設所(HK)
 
 

掲載日 令和3年9月17日

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