令和7年度当初予算(2025.2)
“新たなステージを開拓する予算”
市財政は、自主財源の根幹をなす市税において、国の経済対策に伴う令和6年度の定額減税の終了や償却資産の増に伴う固定資産税の増などにより、一定程度の増収が予想されておりますが、昨今の人件費・物価の高騰により、本市の負担も増大していることから、今後も厳しい財政状況が続くことが想定されます。
このような中で、令和7年度は、第8次総合計画の4年目にあたり、本市がこれまで目指してきた「花と緑と清流のまち笑顔あふれるやさしいまち」の具現化に向け、各種取組を着実に推進するとともに、次期総合計画の策定に向けた取り組みを進めていく所存です。
令和7年度予算は、鹿沼市と粟野町との合併から20年、また、私が市長に就任して初めての予算編成となります。こうした節目にあたり、“これまで築いてきた土台を基に、新たなステージを開拓する予算“として、時代の変革に合わせ、子育て支援策の拡充や、教育環境の充実を図るとともに、DXの推進等による行政サービスの質や利便性の向上、安心安全な暮らしを守る道路の整備を進めるなど、新たなステージへつながる施策への重点的な予算配分に努めながら編成を進めてまいりました。
予算規模
予算規模につきましては、一般会計と特別会計の総額で、629億9,636万4,000円、前年度と比較しますと、25億5,583万9,000円、4.2%の増となります。
一般会計においては、433億6,000万円となり、前年度と比較しますと、24億8,000万円、6.1%の増となり、過去最大の予算規模となりました。
また、水道事業と下水道事業を除く特別会計総額は、196億3,636万4,000円、前年度と比較しますと、7,583万9,000円、0.4%の増となります。
一般会計における歳入の主な増減について
1款市税につきましては、定額減税の終了に伴う市民税の増や償却資産の増に伴う固定資産税の増収が見込まれることから、市税全体では3.9%増の151億9,947万3,000円を計上しました。
22款市債につきましては、道路整備など各種建設事業の財源として、17億130万円を見込み、前年度と比較し、5億1,280万円、43.1%の増となっております。
一般会計における歳出の主な増減について
まず、義務的経費につきましては、人件費は、人事院勧告に基づく給与等の上昇などから、1.3%の増、扶助費は、児童手当の制度改正を含めた社会保障関連経費の伸びにより、11.7%の増、公債費は、臨時財政対策債の借入が減少していることなどから、1.0%の減、義務的経費全体では5.5%の増となり、歳出全体に占める割合は54.2%となっております。
また、投資的経費については、小中学校の学校体育館への空調整備や道路整備などの事業を推進することから、前年度比18.9%の増となっております。
令和7年度の重点事業について
重点事業の1つ目は、『次期総合計画の策定』でありますが、第8次総合計画の終了年度を1年早め、時代の目まぐるしい変化に伴う本市の課題を的確にとらえ、市民の皆さんとの協働・共創により本市の魅力と実力を引き出すための、新たなまちづくりの指針となる次期総合計画の策定を進めてまいります。
2つ目は喫緊の課題である『全てのこどもが安全・安心に成長できる環境づくり』であります。
まず、妊婦の産前産後の経済的負担の軽減を図るため、「いちごっこ出産・子育てかぬまプラス事業」として、現行の応援給付金10万円を20万円に倍増いたします。
また、全ての子育て家庭への支援強化策として、「こども誰でも通園制度」を試行いたします。
また、学校給食につきましては、保護者負担を増やさずに、給食の質を確保するため、給食賄材料費の約3割に相当する物価高騰分を市が負担するとともに、保育園等の給食費につきましても支援をしてまいります。
3つ目の『学校教育環境の充実』につきましては、まず、小中学校体育館へのエアコン設置を進め、熱中症対策を含めた、快適な運動環境を整備いたします。
整備スケジュールは、令和7、8年度の2か年とし、令和7年度は小学校14校、中学校7校の合計21校に設置いたします。
また、小中学校の再編を推進するため、対象地区の進捗状況に応じて、「地区検討会」や「開校準備会」を設置するなど、統合に向けた準備・調整作業を着実、かつ丁寧に進めてまいります。
さらに、子ども達へのきめ細やかな指導の充実を図るため、2学期制を導入するとともに、スポーツや文化の活動機会の確保及び教員の働き方改革を推進するため、地域クラブ等と連携し、休日部活動の地域移行を進めてまいります。
そのほか、GIGAスクールタブレットの更新を行うことで、教育ICT環境の充実を図るとともに、コロナ禍以降、実施が見送られていたグランドフォークス市への学生海外交流派遣事業を再開いたします。
4つ目の『合併20周年記念・戦後80年事業』につきましては、合併20周年を記念し、市民の皆さんとの協働により、様々な記念事業を実施してまいります。
また、令和7年度は、戦後80年の節目の年でもあることから、中学生の広島平和記念式典派遣に加え、改めて戦争と平和について考える講演会や戦時の写真・資料の展示会などを開催いたします。
5つ目の『鹿沼の魅力創出』につきましては、市内中小企業等の人材確保を図り、若年層の地元企業への就職や定住を促進させるため、新たに「新卒者就職祝金」及び「奨学金返還支援補助金」制度を創設いたしました。
また、移住ツアーや都内でのイベントへの出展により、本市の様々な魅力を発信し、移住の促進を図るとともに、移住者目線の相談支援や先輩移住者との交流イベントにより、移住者が地域により早く溶け込めるような環境づくりも進めてまいります。
また、産業界、金融界、行政が連携し、本市の産業・経済の振興に向けた意見を交換する「鹿沼市産業経済未来創造懇談会『かぬまエコノミーティング』」を設置し、協働・共創によるまちづくりを推進してまいります。
観光分野では、観光戦略「キャンプ+(プラス)」を推進するため、二次交通として観光客向けレンタサイクルの充実を図ってまいります。
農業においては、市の特産である「いちご」、「にら」の新規就農者に対する施設整備の補助などにより、担い手の育成を推進し、全国的に評価の高い産地を維持してまいります。
6つ目の『DX推進』につきましては、地方公共団体情報システムの標準化や、戸籍上の氏名へのフリガナ記載の対応を進めるほか、公立保育園への業務支援システムの導入など、市民生活の利便性向上と行政運営の効率化・省力化を図ってまいります。
併せて、民間のデジタル化の推進策として、引き続き、デジタル機器等の導入や、スマート農業の推進に対する支援を行います。
なお、これらの取組については、外部人材の登用のほか、庁内でのDX人材の育成も図りながら進めてまいります。
7つ目の『物価高騰対策』につきましては、鹿沼商工会議所と粟野商工会が実施する「プレミアム付商品券発行事業」支援と、昨年8月に実施し好評でありました、「キャッシュレス決済ポイント還元事業」を引き続き実施いたします。
8つ目の『防災機能の充実』につきましては、防災出前講座等により、市民の防災知識の習得を促すとともに、自主防災会の設立や活動の支援、防災士の養成等、地域の防災体制の強化を促進し、防災情報メールや防災情報伝達システムを活用した適切な情報発信を行ってまいります。
さらに、粟野分署の非常用発電機を、「給油をせずに72時間連続運転可能な設備」とするための改修工事のほか、救急需要の増加に備え、鹿沼市消防署及び北分署の高規格救急自動車の更新をいたします。
また、東分署に配備している化学車について緊急消防援助隊としての広域応援出動や、様々な火災にも対応可能な車両に更新し、機能強化を図ってまいります。
9つ目の『ひきこもり地域支援センターの設置』につきましては、ひきこもりによる社会的孤立などの課題解決に向け、県内の市町では初となる「ひきこもり地域支援センター」を設置いたします。
ひきこもり当事者やその家族への包括的な支援に加え、市民のひきこもりに関する理解促進や支援者の養成を行ってまいります。
10番目の『カーボンニュートラルの推進』につきましては、行政活動における二酸化炭素排出量削減を目的として、新たに、本庁舎に太陽光発電設備を設置するとともに、EV公用車と充電器を導入いたします。
さらに、市民のカーボンニュートラル化を促進するため、報奨金の支給対象に「LED照明器具」と「おひさまエコキュート」を追加いたします。
そのほか、公共施設照明のLED化につきましては、整備が完了した67施設についてリース料を計上するとともに、整備拡大を図るため、他施設への調査等に着手いたします。
11番目の『道路整備』につきましては、安全安心な通学路の確保に向けた歩道整備や、地域間交流を促進する新田橋の整備などにより、安全で快適な道路環境の充実を図ってまいります。
また、JR鹿沼駅東側における都市基盤の整備に向けた調査を実施してまいります。
道路や橋りょうの長寿命化対策につきましては、効率的・効果的な維持管理を図るため、幹線道路の舗装改修工事、東武日光線の新鹿沼駅東西自由通路の補修工事を実施いたします。
また、東部高台地区の雨水対策として、引き続き側溝整備を進めてまいります。
12番目の『外国人に優しいまちづくりの推進』につきましては、増加する外国人住民に対し、多文化共生コミュニティセンター「コミニーテ」での一元的相談窓口による生活支援や学校での児童生徒への教育支援、日本語教室の運営支援や日本語ボランティア養成講座の開催等により、外国人住民が本市で安心して生活し、地域社会の一員として活躍できる優しいまちづくりを推進してまいります。
13番目の『新健康都市かぬまの推進』につきましては、予防接種や健診事業の拡充を図るとともに、新たに9月を健康月間と位置付け、健康マイレージ事業の活用促進など市民の意識啓発や健康教室の充実等を推進し、健康寿命の延伸を目指してまいります。
14番目の『新たな産業団地の整備』につきましては、令和7年度完了に向け、鹿沼インター産業団地造成工事を県と連携して進めるとともに、さらなる企業の立地ニーズに応えるため、鹿沼インター産業団地西地区を候補地とし、事業化に向け地元の意向確認や現況測量等を進めてまいります。
重点事業の最後となりますが、『堆肥化センター堆肥舎の整備』につきましては、センター開場から18年が経過し、老朽化した堆肥舎の再整備に向け、機能診断及び設計業務を行うものであります。
令和7年度からのその他主な新規事業について
1つ目の『合葬墓の整備』につきましては、墓地に対しての市民ニーズが多様化していることから、複数の方のご遺骨をまとめて埋蔵する合葬墓の整備に取り組み、令和8年度からの受付開始を目指してまいります。
2つ目の『体育施設の整備』につきましては、施設の長寿命化に向け、自然の森総合公園サッカー場・フットサルコート改修工事などの実施設計を行ってまいります。
3つ目の『居住支援の強化』につきましては、高齢者や低所得者など、特に住宅の確保が困難な方々に対し、適切な住まいを提供することを目的として、「鹿沼市居住支援協議会」を設立し、居住に関する相談窓口体制の確保等を図ってまいります。
4つ目の『介護保険施設の整備』につきましては、「認知症高齢者グループホーム」1施設を整備するため、公募を行い、事業者に建設及び開設準備費用の補助を実施してまいります。
5つ目の『流通センター地域下水処理施設の整備』につきましては、施設の供用開始から36年が経過し、老朽化への対応や、現状の流入水量が処理能力の5~15%程度に留まっていることを考慮し、現状に応じた浄化槽へ更新するため、実施設計を行うものであります。
6つ目の『農業用水路いっ水対策』につきましては、度々いっ水を起こしている北犬飼中学校西側を流れる平久保川を整備するため、測量設計に着手します。
新規事業の最後となりますが、『鹿沼工業団地雨水排水対策事業』につきましては、鹿沼工業団地内における雨水対策について効果的な手法等に関する調査を行うものであります。
そのほか、継続事業として掲げました大芦川の観光公害に対するパトロール事業や野生鳥獣対策等も積極的に推進してまいります。
担当課・問い合わせ先
財政課/0289-63-2151