高齢者に対する虐待とは、高齢者虐待防止法（平成18年4月1日施行）により、65歳以上の高齢者に対する下記の行為をいいます。

高齢者虐待の類型について

身体的虐待

暴力行為などで、身体に傷やアザ、痛みを与える行為や、外部との接触を意図的継続的に遮断する行為

具体例

• 平手打ちをする、つねる、殴る、蹴る、無理やり食事を口に入れる、やけどをさせる。
• 打撲させる。 
• ベットにしばりつけたり、意図的に薬を過剰に服用させたりし、身体的拘束、抑制をする。

心理的虐待

脅しや侮蔑などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって精神的、情緒的に苦痛を与えること。

具体例

• 排泄の失敗等を嘲笑したり、それを人前で話すなどにより高齢者に恥をかかせる。
• 怒鳴る、ののしる、悪口を言う。 
• 侮蔑を込めて、子どものように扱う。 
• 高齢者が話しかけているのを意図的に無視する。

性的虐待

本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為又はその強要

具体例

• 排泄の失敗等に対して、懲罰的に下半身を裸にして放置する。

経済的虐待

本人との合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭使用を理由なく制限すること。

具体例

• 日常生活に必要な金銭を渡さない、使わせない。 
• 本人の自宅等を本人に無断で売却する。 
• 年金や預貯金を本人の意思・利益に反して使用する。

介護・世話の放棄・放任

意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている家族が、その提供を放棄又は放任し、高齢者の生活環境や高齢者自身の身体・精神的状態を悪化させていること。

具体例

• 入浴をさせないため異臭がしたり、髪が伸び放題だったり、皮膚が汚れたりしている。
• 水分や食事を十分に与えていないことで、空腹状態が長時間にわたって続いていたり、脱水症状や栄養失調の状態にあったりする。
• 室内にごみを放置するなど、劣悪な住環境で生活させる。
• 高齢者本人が必要とする介護・医療サービスを相応の理由なく制限したり使わせなかったりする。

高齢者虐待の特徴

外出する機会が少ない高齢者は、第三者が虐待を把握しにくいという特徴があります。また、当事者である、虐待する人とされている人が、ともに「虐待」という認識がそれほどない場合、現状を虐待ととらえるかどうかの判断が難しいこともあります。
 

高齢者の虐待が行われる背景には、介護者の介護負担、長年の家族関係、経済問題など複雑な問題を抱えている場合があります。一人で抱え込まず、地域包括支援センターへご相談ください。また、地域包括支援センターのブランチ（相談窓口）機能を持つ、在宅介護支援センターという機関もありますのでご相談ください。（在宅介護支援センターは夜間も対応）