麻栄業図
名称
麻栄業図
(あさえいぎょうず)
基本情報
1892年 明治時代
1帖折本、布装26.5×18.6cm
指定
市指定(令和7年5月15日)
所在地・アクセス
鹿沼市上材木町
所有者
個人蔵
成り立ち・見所
「麻栄業図」は、麻問屋であった佐渡屋号福田家に伝えられた布装の折本です。佐渡屋は、「鹿沼大麻芯縄協同組合」を設立するなど、昭和30年代末の廃業まで、鹿沼における麻問屋の中心的な役割を果たしました。本図の作者「光信」(未詳)ですが、逗留の際の礼として、あるいは後の記念として描かせたものが佐渡屋に伝わったと推測されます。
図は、耕起から、収穫、出荷に至る野州麻の生産過程が、22枚の紙に29の場面に分けて描かれ、現在は機械化された作業や行われていない作業も含め、その正確な描写から、画家は実際に作業を観察しながら描いたと考えられます。
野州麻の生産工程を図解した作品としては、この外に「大麻栽培用具並びに作業絵図」(粟野町口粟野、個人蔵)「下野名産大麻図解」(栃木県立博物館所蔵)が知られていますが、近代以降これらの図解が相次いで製作された背景には、殖産興業政策の下推進された製麻の工業化と、商品作物としての野州麻生産の振興があったと考えられます。図解は、生産者への啓蒙を図るための資料であるとともに、亜麻や外国産麻との差別化を図り、在来大麻の優秀性を誇示するためのアイテムとして機能したことも想像されます。
掲載日 令和7年5月26日
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