ヤマビルにご注意ください
ヤマビルについて
ヒルには吸血する種類と、吸血しない種類がいます。住宅地域で見かける頭が扇型のヒルはコウガイヒルと呼ばれ、吸血しない種類です。それとは別に、登山やハイキング、キャンプ等に出かけた際に、陸上でヒルに吸血されることがあります。これがヤマビルです。
鹿沼市内においても、林業従事者などからヤマビルによる吸血被害が報告されています。
体長は1~5cmですが、ゴムのように伸縮自在の体です。頭部と尾部の吸盤を使い、しゃくとりむしのように移動して生き物によじ登り、吸血します。
ヤマビル(濃い茶色、背中に三本の黒い線) 吸血中のヤマビル
ヤマビルのいる場所
ヤマビルは、 日陰の湿った環境を好み、山林内の暗くて落葉が堆積している場所に生息しています。また、歩道や野生動物(イノシシ、シカなど)が通る獣道にも生息しています。水田や沼にいるチスイビル(灰緑色)とは違い、陸上で活動します。
一般的には4~11月の間は活発に活動しており、冬季の12~3月の間は土中、石の下などで越冬します。
生き物に反応しているヤマビル
吸血被害を防ぐための対策等
(1) ヤマビルの吸血について
ヤマビルは、人の体温、呼気の中の二酸化炭素などを感じ取り、落葉の間などから這い出して接近します。
体についたヤマビルは、吸血しやすいところを見つけると、歯を使い皮膚を傷つけ、 1時間程度かけて約1mlを吸血します。
吸血の際、痛みを感じさせないモルヒネのような物質と血液を固まらせないヒルジンという物質を出すため、吸血されていることに気付かないことが多く、血が止まりにくくなります。
(2) 吸血されにくい服装
ヤマビルは少しの隙間でも侵入します。登山やハイキング、キャンプ等に出かける際には、次のことに注意しましょう。
- 足元から這い上がってくるので、上着の裾はズボンに入れる。
- 必ず靴下(網目の細かくて長いもの)を履き、靴下の中にズボンの裾を入れて、長靴を履くようにする。
- 襟元にタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着る。
- ヤマビル用の忌避剤を長靴や衣類にスプレーする。
※忌避剤や虫除けスプレーにディート(虫除け効果のある薬剤)が含まれる製品については、乳児等への使用は十分ご注意ください。 - 歩行中、30分に1回程度は足元などを確認する。複数で行動する際は互いに確認し合う。
- 休憩等で腰を下ろす際には、周囲にヤマビルがいないかよく確認する。
(3) 周辺環境の手入れ
ヤマビルを簡単に全滅させることは困難ですが、生息しにくい環境にしたり、これ以上増やさないためには、地域で行う取り組みが重要です。
- ヤマビルは乾燥した環境を嫌うため、草刈や落ち葉さらい等をして、日当たりや風通しを良くする。
- 動物によるヤマビルの持ち込みを防ぐために、農地や家屋の周辺に侵入防止柵を設置して野生動物の侵入を防ぐ。
- 有害鳥獣の捕獲等によってシカやイノシシ等の生息数を減らしていく。
また、殺ヒル剤や殺ヒル効果のある薬品を散布することも、一時的には効果的なヤマビル対策となりますが、これらの対策を継続的に進めていくことが、被害を防ぐために重要です。
吸血された際の対処法
ヤマビルに吸血されたら
ヤマビルに吸血されないように注意しても、どこかから入り込まれて吸血されることがあります。その際には、次の手順で対処しましょう。
- ヤマビルを取り除く(無理やり引っ張らなくても、塩や虫除けスプレー、消毒用エタノール等をかければ剥がれます)。
- 取り除いたヤマビルを駆除する(塩や虫除けスプレー等をかける。ハサミで半分に切る。ライターの火で焼く)。※ヤマビルは弾力性があり、靴で踏みつぶして駆除することは困難です。
- 傷口を指でつまんで、ヤマビルの唾液成分(ヒルジンなど)を絞り出し、綺麗な水等で洗い流す。
- 抗ヒスタミン剤軟膏(虫刺され薬・かゆみ止め)を塗り、絆創膏を貼る。
引き続きかゆみなどの症状が良くならない場合には、皮膚科の医師にご相談ください。
参考文献
栃木県「ヤマビル対策マニュアル」