水の着色
青い水が出る
原因
光が水に当たると、青い光が散乱され、赤い光が吸収されるため、海や湖は、青く見えます。家庭でも、風呂などの大きな容器に水を溜めた場合に、これと同じ現象で青く見えることがあります。特に青の補色であるアイボリ一系のカラー浴槽などに多い事例です。
参考
水に溶け出した銅により、水そのものが青く見えるためには、1L当り約100mg以上の銅の溶出が必要です。実際には、このような高い濃度で銅が溶出することはなく、青い水が出ることはありません。白いホーロー容器に水を採りますと、色の有無や色調がわかりやすくなります。
青い底のプールの色が緑色に見える
原因
水道水には、水道管に鋳鉄管を使用している関係で、微量の鉄分が含まれていることがあります。そしてプールの底が青い場合には、鉄分の黄色とプールの底の青色が重なって緑色に見えることがあります。
赤水や濁水が出る
原因
このような現象は、給水管に亜鉛めっき鋼管が使用されているとき又は継手などの一部に鋼製の材料が使用されているとき、硬質塩化ビニールライニング鋼管やポリ粉体鋼管布設時に管端面等の処理に不備があるときなどに起こります。それは、露出した鉄面が空気中で 錆びるのと同様に水中でも徐々に錆び、この錆が水の使い始めに赤水となって出てくるためです。朝の使い始めに赤水が発生し、一分間以内に収まるときは、ほぼ給水管に起因すると考えられます。また、水道管の布設替工事などによる一時的な赤水発生の場合もあります。
対策
赤水が出るときは、しばらく流してから使用してください。このとき放流した水は、植木や庭のまき水など飲用以外に利用してください。
安全性
鉄は人体にとって必須元素で、レバーなどに多く含まれ、血液中のヘモグロビンの合成に必要です。厚生労働省では、国民の心身を健全に発達させ、健康の保持増進と疾病予防のために標準となる栄養の摂取量を年齢、男女別の栄養所要量を発表していますが、平成12年度から適用される「第6次改訂日本人の栄養所要量」では、成人男子は1日10mg、成人女子は1日12mgです。水質基準値は0.3mg/L以下となっており、鉄が0.3mg/Lを超えて含まれていると、水が赤く着色して見え、味が悪くなるので、容易に気づきます。また、鉄による少量の赤水を誤って飲んでしまったとしても、鉄は人体への吸収率が低く、大部分が排出されてしまいますので、直ちに有害ということはなく、特に心配ということはありません。ただし、多量の赤水あるいは鉄の濃度が異常に高い赤水を飲用した場合は、嘔吐や下痢を催すことがありますので、乳幼児が誤飲した時は医師に相談してください。
白い水、白いお湯が出る(数秒間放置すると消える場合)
原因
容器に水を入れたときに、下の方から透明になり白い濁りがなくなる場合、原因は空気の混入であり安全性については問題ありません。これは、蛇口から水道水を勢いよく出すと蛇口の出口部が負圧となり、蛇口の上部から空気を吸い込むため、それが細かな気泡となります。これらの気泡は小さいため、水やお湯が白く濁って見えます。しかし、数秒後には徐々に下の方から透明になってきます。また、給湯用の蛇口から出るお湯にも同様の現象がみられ、空気の吸い込みの他に水に溶けている空気の放出が考えられます。つまり、湯沸器の中で水が急激に加熱されると、水中にとけ込んでいる空気が溶けていることができなくなり気泡となります。これらの気泡は小さいため、水やお湯が白く濁って見えます。しかし、数秒後には徐々に下の方から透明になっていきます。
参考
浄水場や加圧ポンプ場のポンプが何らかの原因で空気を吸い込んだ場合にも、白い水が発生することがありますが、このような場合は広い配水系統に白い濁りが発生します。空気ですから、コップに入れて置いておけば、徐々に下の方から透明になっていきます。
白い水が出る(放置しても白さが消えなかったり、沸騰すると白くなる場合)
原因が亜鉛の場合
原因
給水管に亜鉛めっき鋼管を使用して間がないと、亜鉛が溶け出して白い水が出たり、または、沸かすと白くなったりすることがあります。この現象は、給水管内に水がたまっている時間が長いほど発生しやすく、朝の使い始めによくみられます。
対策
朝の使い始めに給水管に滞留した水を排水して、他の用途にご利用ください。また、亜鉛の溶出が進行すると、鋼管が露出して錆による赤水が発生しやすくなります。したがって、お客様に給水管を他の種類の管に、布設替することをお勧めしなければならない場合があります。
安全性
亜鉛は人体にとって必須元素で、肉類、豆類、カキ(貝)に多量に含まれており、酵素を活性化させるのに必要です。厚生労働省の「第6次改訂日本人の栄養所要量」では、成人男子は1日11mg、成人女子は1日9mgです。亜鉛の水質基準値は1.0mg/L以下となっており、亜鉛が1.0mg /L を超えて含まれていると、水が白く着色して見え、味が悪くなってきます。また、亜鉛は酸性になると水にとけ出しやすくなります。しかし、必要な量以上とったときは、体外に排出されてしまいますので、直ちに有害ということではないので、健康障がいについては、極めて多量にとったなどの特殊な場合を除き問題はありません。
原因が防錆剤の場合
原因
鋼管を使用したビルやマンションなどでは、赤水対策として給水系統配管の取替などが行われるまでの応急対策として、防錆剤を添加する場合があります。この防錆剤注入機の故障などが原因で、受水槽以下の水に多量の防錆剤が混入した場合、その水を沸かすと白くな ることがあります。
対策
防錆剤注入機の修理がすむまでは、飲用しないようにしてください。修理が終わってから、飲用に適するかどうかの判断については、保健所にご相談してください。防錆剤が過剰注入された場合、濃度が原液に近いものであると、のど、胃などに焼けるような感じがあり、嘔吐、下痢を催すことがあります。もし、防錆剤の原液を誤って飲んだ場合には、直ちに、口・のどを水で洗い、コップ4~5杯の牛乳・卵白水又は水を飲ませ(この時、吐かせてはいけません)、その後直ちに医師の手当を受けてください。
参考
防錆剤の使用基準等については「特定建築物における給水用防錆剤の使用基準について」(昭和59年8月27日衛企第93号)で防錆剤の注入方法、防錆剤の含有率及び、防錆剤の使用上の留意点が明示されているので参照してください。